2 心を動かす現場と“推し”との出会い


1. あなたの胸に残る光景

思い出してください。子どもの頃、夜の街で見上げた高層ビルの窓の光。駅のホームで聞いた電車が走り出す音。夏祭りの夜、会場を照らしたまばゆい照明。

その一つひとつに、名前も顔も知らない誰かの仕事が息づいています。その仕事は、雨の日も、雪の日も、休日も、止まることなく続けられています。


2. 名もなきヒーローたち

大規模停電を防ぐため、嵐の夜に送電線を点検、工事をする人。

鉄道の安全を守るため、深夜にレールや枕木を点検、工事する人。

高層ビルのエレベーターを早朝から整備し、出勤ラッシュを支える人。半導体工場でクリーンルームに入り、目に見えない埃すら許さない環境で働く人。

あなたが普段当たり前だと思っている日常は、こうした見えない努力の上に成り立っています。


3. 推しができる瞬間

そして、ある日、あなたは気づくのです。

「この駅のエレベーター、いつも清潔で安心できる」

「このイベント会場、音も光も完璧で感動した」

「新しい包装、開けやすくて捨てやすいし、環境にも優しい」

それは、ただの設備や製品ではなく、あなたの中で“推し”へと変わる瞬間です。推し活とは、単に応援するだけではありません。その存在の価値を知り、もっと良くなる未来を一緒に考える行為です。


4. サイバーとフィジカルの裏側

推しの現場では、サイバー空間とフィジカル空間が絶えず対話しています。エレベーターはセンサーで利用状況を収集し、AIが混雑緩和の運行パターンを決定する。半導体製造は、数億分の一メートルの世界をデジタルシミュレーションで再現し、品質を予測する。鉄道の運行は、リアルタイムデータと過去の膨大な履歴を照合して最適化される。

それは、人と機械とデータが共鳴する舞台裏です。
この共鳴が、あなたの推しをより魅力的にしています。


5. 涙がこぼれる瞬間

推し活の中で、時に胸が熱くなる場面があります。
災害で止まった街に、懸命な復旧作業が入り、灯りがともる瞬間。老朽化した橋が補修を終え、再び人々をつなぐ瞬間。イベントの最終日、舞台裏で全員が無事にやり切ったと抱き合う瞬間。

その背景には、膨大な準備と、見えない苦労と、妥協しない技術がありました。その事実を知ったとき、あなたはただの観客から、共鳴する仲間へと変わります。


6. 第2部の結び

推し活は、感情を共有し、未来に投票する行為です。

あなたが見つけた推しの現場や技術や人は、きっとこれからも進化し続けます。そして、その進化を一緒に支え、物語の続きをつくることができます。

次の第3部では、この推し活がどの産業領域でどのように広がり、エネルギー・生活経済・環境のトリレンマとどう向き合っているのかを描きます。


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