1. 推し活は、社会のどこにでもある
あなたの推しはアイドルやキャラクターだけではありません。駅の安全なホーム、夜景を照らす街灯、静かに動くエレベーター、環境に配慮した包装、災害後にいち早く復旧する電力網、高効率で製造される半導体、地域を結ぶ鉄道ネットワーク──。
推し活とは、「大切に思うものをもっと良くするために関わること」。それは産業や社会基盤にも当てはまります。
2. 推し活の産業マップ
推し活は、次のような広がりを持っています。
- エネルギー推し
- 再エネの発電所を見学し、データを発信する。
- 灯りを絶やさない火力や原子力の安全文化に共感する。
- モビリティ推し
- 鉄道車両のデザインや運行システムを愛し、記録する。
- エレベーターの静かな動きや効率的な運行パターンに惚れ込む。
- ものづくり推し
- 半導体の微細加工技術に魅了される。
- 造船や大型機械の製造過程を追いかける。
- 生活推し
- 地域の食品・飲料メーカーの品質や環境配慮の姿勢を応援する。
- 包装やパッケージのデザインと機能を高く評価する。
- 文化推し
- エンタメ会場の演出や舞台装置の技術に感動する。
- コワーキングスペースでの新しい共創文化に共鳴する。
3. エネルギー・生活経済・環境のトリレンマ
しかし、推しの現場は常に課題と向き合っています。
特に、エネルギー・生活経済・環境の三立が大きな壁です。
- 環境負荷を下げるためには、再エネや省エネの導入が必要。
- しかしそれだけではエネルギーの安定供給が難しく、火力や原子力の役割も残る。
- 経済性を保つためには効率化やDXが不可欠。
このバランスを取ることは、企業や行政だけの課題ではありません。推し活を通じて情報を知り、意見を持ち、選択することも、社会全体の解決に貢献します。
4. サイバーフィジカルとDXの役割
このトリレンマを解く鍵の一つがサイバーフィジカルシステム(CPS)とDXです。
- 鉄道の運行最適化やエレベーターの混雑緩和は、リアルの動きをセンサーで取得し、デジタルで解析して戻すCPSの典型です。
- 発電所の出力調整、送電網の負荷分散、工場の省エネ運転も同じ構造です。
- 半導体製造の歩留まり向上や包装材の軽量化も、CPSとDXによって実現しています。
推し活の目で見れば、こうした技術やシステムは「推しを支える裏方の推し」です。
5. 推し活から社会参加へ
あなたが推しの魅力を発信すれば、それは他の人の関心を呼びます。関心が集まれば、改善や投資の後押しになり、技術やサービスはさらに進化します。この循環は、単なる消費者から、社会を動かす共鳴者へとあなたを変えていきます。
6. 第3部の結び
推し活は、個人的な楽しみであると同時に、社会全体をより良くするエネルギーでもあります。エネルギーと生活経済と環境の間で揺れる現場に、あなたの応援や発信が届けば、それは確かな力になります。
次の第4部では、この推し活をきっかけに実際に関わる一歩を踏み出す方法と、その先にある未来を描きます。